ユカちゃんハテナ王国へ行く【12】
言いながら、お母さんもそうだったのかな、とユカは思った。“忙しいから後で”。
引き替え、お父さんは答えを教えてくれると同時に、答えの見つけ方も教えてくれた気がする。図鑑だってそうやって“なんで?”と聞くたび少しずつ増えていった物だ。
でも、“答えの見つけ方”を自分はあまり真剣に考えて来なかった気がする。
聞けば教えてくれるから。
だけど、それだけ。それで満足してしまう。
それって、この国の人たちみたいにならないか。お父さんは本当は“答えの見つけ方”を自分に覚えて欲しかったんじゃ。
それなら、真逆のここは。
「このままじゃユーカ姫戻って来ないかもね」
ユカは言った。
「ユーカ姫は私のいた世界に来てるんでしょ。どんなもんか知ってるわけでしょ」
セバスチャンは唇の端っこでニヤッと笑って。
「まぁ、そうですね。それを知ってるからこそ、ここを確実に治めることができるわけでして。あなた様の国、中つ国(なかつくに)と私ども呼びますが、そこでの失敗を起こさないように存在しているのが我が国です。国と国ではもちろん、国の中ですら、考え方の違いで争いごとが起こる。争いは損失が出るのみで何らプラスになりません。だったら、最初から何も知らなければ、考え方の違いも起こらない。そういうことは一切知らない方がいい。そうじゃありませんか?」
わざと全員“バカ”にしているんだ。ユカは判断した。
「それって、人間じゃなくない?」
ユカは言った。確かに、そういうことしているのは人間だけだ。かと言って、そういうことしなくなったら、人間である意味はない気がする。そして人間であるなら、そういう違いを、どっちが正しいか、ではなく、違いをわかり合って生きて行くのが正しいんじゃないのか。
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