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【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-45-

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 相原は即座に頷いたが、その背景として、レムリアが日本で何をしていたか書く必要があろう。多いのは小児病棟や児童館等でマジックショーだ。通じてみんなの友達になり、病気の子が生きる勇気を持った。挙げ句“日本語が喋れる姫様看護師”というキャッチーなポイントでマスメディアに出たことも。EFMMは国際救助ボランティアであり、災害や戦役対応、更には、それらと分かちがたく結びついている貧困地域での活動が多い。逆に言うと最も縁遠いのが裕福で医療福祉とも整った日本、なのであるが。
「これだろ?」相原は前置きして、
『自分の国で苦しんでいる人がいるのに、他の国の人間を助けようとする人は、他人によく思われたいだけの偽善者である』
 相原が口にした、マザーテレサが言ったとされる言葉に、レムリアは頷いた。
「そう。特に子ども達。あれだけ豊かな国で子どもが虐待されたり、傷つけあったり、何事?」
 レムリアはコーヒーを口にし、テーブルに戻し、相原を見た。
「怒られてる気分」
「“いじめ”って減ってないんでしょ」
 詰問調。レムリアは解決に1件関わっている。
 相原はコーヒーを一口し、ため息をつき、
「お察しの通り。君の言う通り、かも知れない。でもテレサの言葉の通り、とは思わない」
「え?」
「偽善じゃ無いんだ。本当に困ってる人の手助けはしたいんだ。ただ、自分を後回しにしてるだけさ。いや違うな。完全な自己保身か、完全な奉仕の精神かで、真ん中が抜けてるのかも。そこが育児に悩むお母さんや、子ども達の孤立に繋がっている。自分か、遙か遠くか、どっちかしか見ていないから、目の前が見えてない」
「何それ。父親って何してるの?ニッポンのオトーサンは朝早くから夜遅くまで、とは聞くけど」
 

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