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【理絵子の夜話】新たな自分を見つける会-01-

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 田島綾(たじまあや)は黒野理絵子(くろのりえこ)の友人である。
 綾自身は理絵子が自分を親友に分類してくれているであろう、と自己分析している。家は近所。幼稚園から一緒。クラスが離れることはあったにせよ、行き帰りはいつも一緒。小学校高学年からの部活も一緒で、現在は中学校で文芸部。
 ただ、差異があることも認識している。理絵子は美少女の誉れ高く、常時学級委員であり、成績はトップ当然。最もそれは幼い頃から見えていた傾向であって、それに基づいて羨んだり嫉妬したりということは無かった。
 つもりである。つもりであったが。
 別の差異を感じ始めた昨今である。落第いわく付きの桜井優子(さくらいゆうこ)という女の子を孤独の淵から救ったのは、自分自身も彼女と仲いいからいいとして。
 北村由佳(きたむら・ゆか)という娘だ。何でこんな自分勝手な鼻つまみに肩入れするのか。
 いや肩入れというのは正しい表現ではないかも知れぬ。文芸部のプライドが解析を要求する。厳密には理絵子が他愛ない話題で雰囲気を作り、そこに北村由佳の方が便乗し、失礼ギリギリまで迫り、それに柔らかく応じているというのが正しい。
「田島さん」
「わっ!」
 だから、塾からの帰り道、そんなこと考えている最中、その北村由佳に呼び止められた折りには心底驚いた。
「あ、ごめん、脅かしちゃった?」
 知ってて故意に。装った心遣い。
 ……に、見えるのは邪推か。
 それでまたこのタイミングで夕空を行くカラスが鳴いたり。
「ちょ、ちょっとね。……何?」
「その……相談、あるんだ。黒野さんのことで」
「何で私?」
 本人に訊きゃええやん。頭脳明晰一発回答が来よう。
「その、何て言うか、黒野さんとの付き合い方、って意味でさ……」
 そういうことか。それなら理解できる。分析の通り、現状二人のコミュニケーションは北村由佳が押し込み一辺倒。

 

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