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【理絵子の夜話】新たな自分を見つける会-02-

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 ただ。
「え?今から?」
「うん、できれば。自分……混乱しちゃって、混乱が止まらなくて、誰かに話し聞いて欲しくて、そういえば田島さん金曜日ここ通るなあって」
 それは行動監視されているようで多少不気味な気はするが、まぁ北村宅アパートの前であることは確かである。行き帰りに通るんだから見えもしよう。
 そして、その、“混乱した付き合い方”とやらで理絵子に迷惑が掛かるのは、友として避けたい成り行き。
「い、いいよ。その代わり家に電話させて。晩御飯遅れるからさ」
「それだったらウチで食べて行くとイイよ。オカンに電話させるから」
 は?田島綾は率直に疑念を抱いた。
 一方でこの親にしてこの子ありとも言う。理絵子はこの娘の親は知らぬはずである。
 自分が見聞きし、理絵子の耳に入れておくのは有意義かも知れぬ。
 殿様に仕えの忍者か。
「何してんのー?」
 電子メールの顔文字そのものの笑顔で、北村由佳はアパート階段上から呼んで寄越した。
 自分が悩んでいる間にとっとと移動完了している。もう決定事項、ということか。だったら問うなとも思うが。
 まぁ、メシの一食くらいなら。田島綾は上がって行った。
 サビの浮いた外付けの鉄階段がカーンコーンと音を立てる。
 目線が上がり、広がる澄んだ夕空。稜線近くに輝く金星。
 ……とは、理絵子の知識から。
「こっち」
 呼ぶ声にヴィーナスから顔を戻すと、開かれたドアが見える。
 ……防犯のぞき穴スコープの下に“御札”の存在を認める。梵字だろうか読めない文字列ピラり一枚。何か宗教。
 最も、この異字自体は、その理絵子が密教の資料を持っているので見慣れていないわけではない。これは、文芸部の作品に、超能力を扱ったファンタジー系のものが多いのと、
 理絵子自身、そういう特殊能力の持ち主であるためである。
 

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