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【理絵子の夜話】新たな自分を見つける会-03-

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 そういえば、この北村由佳は理絵子の力を知っているのであろうか。ウワサとしては校内広く知れ渡っているので承知しているであろうが。
 実際に所有しているのを知るのは自分、桜井優子、学年にいるもう一人の霊能持ち。但し、いずれも他言はしていない……。
 はず。
 はず、というのは、この娘がその霊能持ちに相談事をしていたと聞いたから。霊能持ちは今でこそ理絵子と仲が良いが。その当時は理絵子が勝手に敵意を持たれてぎくしゃくしていた。
 まぁ、バレてりゃこいつの口から出るか。
「お邪魔し……」
 ます、と言おうとして、大人の女の声が聞こえ、ボリュームを下げる。ええ必ず……では突然申し訳ありません。……その文言の並びから、田島綾は自分の家に電話していると判断した。終わるまで挨拶を待つ。
 玄関先から覗き込むと、北村由佳の母親であろう女性が受話器を戻すところ。
「ああ、由佳のお友達ね」
「お邪魔……します。田島綾といいます」
 首をすくめたくなるような威圧感、を田島綾は感じた。
「すいません、こんな時間に」
「それはこっちの台詞。さ、上がって」
 腕引き誘われるが、まず靴を脱がせろ。田島綾は靴を脱ぎ、一旦しゃがんでその向きを揃え、
 ……匂い。お香?
 L字型の短い廊下。左手に洗面・バスルーム。鏡の上に同様に梵字。鏡に映った自分の顔。ギロギロと監視するような目線と表情の自分に驚く。目線を外すように右手の6畳。
 仏壇……。
 違う。祭壇だ。田島綾は察知した。世界史の教科書に出てくるような神殿のミニチュアである。御札の宗教かどうか知らぬが“神々しさ”の演出ふんぷん。
 それは北村由佳母娘共通に感じる、例えば先程の威圧感に代表される何か、人を驚かしておいてケロッとしている何か、を裏打ちしている気がせぬでない。
 

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