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2014年10月 1日 (水)

ユカちゃんハテナ王国へ行く【18・終】

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 目が覚めると心配顔のお母さんの顔が自分を覗き込んでいた。
「あ、ユカ!気がついたのねユカ!」
 抱きしめられると頭ががんがん痛い。
「おか……」
「飛び出す子がありますか……道路は庭じゃないよって、いつも言って……」
 お母さんの説明によると、自分はアパートから飛び出したところで自転車にぶつかった。
「はね飛ばされたけど、ちょうど、本がクッションになったみたいね。さすが天使の本だわ」
 その教会から借りた絵本のような図鑑「てんしのひみつ」。
 あれ?持ってたのこれだっけ。
「ぼろぼろになったから弁償しないとね。あと、お母さんも反省してるわ。30秒1分あなたの質問に答えたからってどうということはないのに。何が訊きたかったの?」
「ミカエルは大天使(アークエンジェル)で下から2番目なのに、なんで『天使長』って一番偉いのかって……」
「あら難し……」
「うん、でもいいんだ。分かったから」
“人に近い姿をした”天使たちを束ねるだけ。
 そして多分、天使たちは“はてのくに”が見えないみたいに、本当はいるけれど見えないだけ。
 ユーカ姫のように、見えない敵と戦っている。ううん、ひょっとしてユーカ姫が本当は天使なのかも。
 卑弥呼も本当は天使なのかも。
 お話が書けそう。
「ユカ、大丈夫?」
 急に黙り込んだせいか、お母さんが訊いた。
「ううん。変な夢を見て、思い出してた」
「あら怖い夢?」
「怖い。うん、怖いよ。けど、楽しい夢。一生懸命勉強しなくちゃ怖いことになるんだって夢。知らないと分からないんだ。言われたとおりでも秘密にされたら分からないんだ。いつも本当のことばかり言ってるとは限らないんだ。だから自分で調べること大事」
 ユカの言葉に母親は少し瞠目し、そして緩やかに笑みを浮かべた。
「そうね」
 
ユカちゃんハテナ王国へ行く/終
 

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