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【理絵子の夜話】新たな自分を見つける会-04-

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 そして正面、リビングダイニング……妙に子細に人様の家を観察している自分を意識する。スパイ気取りと言うより自然とそういう行動になっている。自己正当化しておくと何か怪しい。
「ごめんね少し匂うでしょ。さっきまでお香を焚いてて……ヨガやってたんだ」
 リビングダイニングは廊下真っ直ぐ進んで突き当たり。左手にテーブルセット。右手はカーペットが敷いてあり、大きなドーナツを思わせるクッションと、そのヨガであろう、ポーズ写真の本が開いて置いてある。
 本には『お香でヒーリング効果倍増』……なるほど。
「……やったら私も痩せるかな?」
 田島綾は自虐を口にし自らを指さした。体型に関しその手の言われようであることは百も承知。お菓子、甘いもの、ジュース大好き、応じた体型百も承知。
 ただ、今、そう言ったのは、黙り込んで挙動不審は雰囲気悪くするかと思ったから。
「やってみなよ。代謝が良くなるよ」
 果たして北村由佳はそう言ってニコッと笑った。やはり少し反応や物言いがずれていると田島綾は得心する。
 ちなみに、男子達にこの手のネタを言うとこう返る。
『田島はふっくらボインがいいんじゃないか』
 黒野理絵子はBMIなる数値が云々で話をする。
 どちらにせよ、自分の自虐を肯定すると自分を傷つけるという配慮を感じる。
 比して。
「お座りになって」
 そのタイミングで発せられた母親の台詞に、田島綾はヨガのクッションに正座してみた。
 自分の表情に曇りが表れていたら、それを感づかれていたらイヤだと思っておどけてみた。
「あはははは田島さんってホントおもしろい」
「え?え?違う?」
 コント風にボケてみる。とりあえず不思議母娘から笑いを呼び出すことには成功したらしい。
 テーブルに目を移すとカップスープが配膳されている。パセリであろうか乾燥し粉末状になった緑色を北村由佳がビンから取り出しスープにパラパラ。
 

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