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【理絵子の夜話】新たな自分を見つける会-07-

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 笑顔なのに不快。“※但し美少女を除く”というフレーズ知ってるが、彼女はどちらか言うと可愛いと判断されると思うが。
 なのに、不快。
 理絵子が肩入れする理由が判る。だが、この調子であれば、理絵子は恐らく防空識別圏を設定している。
 メシに誘われる。……自分、それは識別圏を解いてしまったのではないか。
 自分のみならず、理絵子のものも。
「どうぞ」
 母の手があり、小皿に盛られたサラダ。
 続いて油がジャージャー言って揚げ物が始まる。ここで逃げ帰るのは幾ら何でも失礼か。
「でも、そんなこと無いんだ。幼稚園がキリスト教系でさ……」
 北村由佳は著名なプロテスタント系私立幼稚園の名を挙げた。
「そこつながり。普通、日曜学校とか卒園すると行かなくなるじゃん。それでも来てもらえるような気軽な集まり、そんな感じ。『新たな自分を見つける会』って言うんだ」
「キリスト教ベース?」
「うん」
 なら、多少は対応できる。田島綾は思った。理絵子を部長に活動している文芸部の創作でファンタジー系を扱う。伴って聖書をサラっと読むくらいはしたし、イエスの言いたかったことや“神”の意味合い、自分なりの意見言えるつもり。
「たとえば、あなたはトマトが嫌い」
 北村由佳はいきなり言った。
 これに、田島綾はまずは驚きはしたが、
 自分が無意識に避けて食べているのを見透かされたのだと気がついた。
「当たり。苦手。よく見てるね」
「でしょ。だから、ごめん、判ってたんだ。私が黒野さんと話してる時のあなたの視線」
 これは驚かざるを得なかった。どこかしら思っていた“何でこんな奴”意識が表出していたというのか。
 田島綾はフォークを置いた。
「そう思っていたつもりは無いけどそう見えていたならごめん」
 何だろう。この、敗北感。
 ……って、この心理も見透かされてる?
 

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