【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-54-
レムリアは小首を傾げてそれを受け。
「(ありがとうございます。ちょっと両親に話がありまして。それから、今後は、そのような心遣いはどうぞ不要で)」
女主人と男の子は顔を上げ、目を見開いた。
「(それはどういう……)」
「(やがて明らかになりましょう。幼い頃はお世話になりました。ちょっと急いでおりますのでこれで)」
「(いえとんでもない。お引き留めしてすいません)」
「ばいばい~」
男の子が手を振り、再び歩き出す。
「君が故国を出たのは無視されたからと聞いたがね」
相原は言った。そういう財政環境下、税金により完全に生活を保障された特権階級。あまり良い感情を持たれていない。早い話が“いじめ”である。だから、彼女は日本でいじめ被害の女の子に出会った際、都合二週間ずっと連れ添った。
「国民が出て行かないのは、近隣各国で何らかの宗教的制約を受けるのがイヤだから。こっちは日曜学校、こっちは定時の礼拝だしね。逆に言うとそういう人たちだけ残って1200というべきかな。リベラル系ってクラスタ。何らかの権利や奉じる肩書き持ってるの嫌いでしょうよ」
「それって王族追い出しての国家乗っ取りじゃん」
「事実不要だしいいんじゃない?両親は親善使節としての待遇が保証されてる。問題は私の処遇だけだった。それが決まれば早いほうがいいわけよ。過去の蓄え取り崩して食い繋いでる体たらくなんだから」
歩きながら石畳を行く。両脇の家々はなるほど個人工房と評してよい建て屋が多い。但し、相原の印象を借りれば、人通りは少なく、製造業に供されているであろう、機械類の音も聞こえてこない。静かである。
「東京の下町みたいだな。個人工場が多い。そういや常滑(とこなめ)行った時もこういうのイメージしてたら違っててガッカリした言ったな」
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