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【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-55-

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「うん、レンガの煙突があちこちにあって、うわー、焼き物あれで作ってるのかなぁ、って思ったらさ、殆ど廃業でガワだけ。中身はオシャレ小物ショップでついでにお茶も、そんなんばっか。それが新たな雰囲気って奴に繋がって行くんだろうけどさ。はい、我が家です」
 王宮へ到着した。
 鉄門があるが何も言わずとも開いた。レンガの門番小屋があり、赤い制服の衛兵がいて捧げ銃(ささげつつ)。銃は本物のショットガンだという。
 両翼広げる城の造作は古い。円筒形の構造物を幾つか重合した構造である。頂部は尖塔ではなく円形であり、見張りと、高所からの攻撃設備を配せる。素材はレンガで白塗り。
 門から城の玄関、大きな開き戸までは僅かな距離である。目測30歩、と言ったところか。よく欧州系の城の描写には門から玄関までの距離の長さを利用するが、ここの場合その役目を街並みそのものが担っているためであろうか。ちなみに大理石のタイルが敷き詰めてある。
 相原が一歩踏み出そうとし、
「外壁を越え、街並みの市民兵の攻撃を乗り越え、内壁すらも乗り越えたらここで地下に落とされる。私の歩いた跡に沿って歩いてね。落とす機能そのものは生きてるから」
 レムリアが言い、タイルを選びながら歩いた。
「映画みたいだ」
 相原は彼女を追ってピョンピョン飛ぶように歩きながら言った。
「魔宮そのものだよ。魔術の本営だもの。どのタイルがOKなのかはテレパシーでしか判らないし。コロコロ変わるし。王室廃止してどう処理するか知らないけどさ。まるっとフタかな?」
 距離の割りに手間を要して開き戸に着く。一見木製であり、補強用に鉄の帯板を貼った形状だが。
「ご明察。鉄筋入ってるんだなこれが。で、攻城装置でぶち破ろうとして鉄筋切れると、何と内壁の内側、城の敷地全体が大洪水になります」
 レムリアは王宮背後にそびえる山を指さした。地下水脈の中にこさえた水門に直結しているという。その水は先ほど歩いたメインストリートに水道として導かれている。水道の料金は無料。
「(……)」
 呪文。
 そして扉は開いた。
 

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