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【理絵子の夜話】新たな自分を見つける会-08-

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「とりあえず胃袋に食べさせてやって」
 田島綾の結論はそれ。食べることは好きなので、遠慮抜きで食べていれば、表情や所作には出ない。であろう。
 北村由佳が手を伸ばして来、フォークでミニトマトを抜いて行く。
「お母様料理お上手ね」
 誤魔化しがてらの世辞。なのだが言って失敗したと思う。サラダに調理もへったくれも無い。
「というか野菜が新鮮なんでしょ。それも『見つける会』で作ってる物なんだよ。キャベツとか虫食い穴があるでしょ」
「え?虫入ったりしてる!?」
 田島綾は反射的に言ってしまった。クモ昆虫苦手だが、とりわけイモムシは大の苦手だ。脚の有るだか無いだかのようなモノがモゾモゾ動く。
「大丈夫だよ。綾ちゃん結構怖がりなんだ」
 北村由佳は乾いた笑いを寄越す。小馬鹿にされてる気がする。そして同時に何だろう、この空回り感。
 その、会、とやらは何をしている?
 ネタに出来る。と思ったのは田島綾ならではの反応と言って良いだろう。文芸部ヘンな団体に潜入取材。山崎豊子ばりのノンフィクション超大作を発表!
 ……とは行かぬまでも、普通のファンタジーとは作風変えられるだろうし、リアル宗教団体という物に接したことが無い。厳密に言うと、理絵子は密教の団体に所属しているらしいが、彼女はそれ以上のことは一切語らない。訊くべき内容でもないし聞いても理解出来ないと田島綾自身認識している。遊び半分は失礼だろう。比してこちらは恐らく、ファンタジーの世界に厚みが付加できる。
 それに、所作や目線で見透かされないようにするには、見透かす方法を知っておいて損は無い。
 仕掛けるか。
「デブだしさ」
 果たして田島綾は言った。
「ん?」
「コンプレックスの塊なんだ自分。そのナントカ会が、そういう心のドロドロ無くす効果があるなら。それに、何だろ、北村さん生き生きしてるじゃん。自分の意思で行動してる。切り開いて行こうという意欲を感じる。そんなだったら、ちょっと覗いてみたいなって」
 

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