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【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-58-

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 メイドさんが国境審査セットを持って退場。
「んにゃ、歳差とは関係ない。古代一時期、赤く見えた時代があったんだよ。プトレマイオスだかセネカだかが書き残してる。こいつ二重星でね、今は子分扱いのシリウスBの方が実は親分だったらしくて先に寿命を終えたんだよ。だけどそこは元親分、つまり質量がでかいもんだから、今の白いシリウスAからガスをはぎ取った。結果、一時的だけどシリウスBの方で核反応が起きて赤く光った……というのが科学雑誌の受け売り説明」
「へえ!」
 そこで母君、
「ということは、逆に言うとこれが作られたのはその時代……」
「でしょうね。都合2000年」
 4人が天井を見ているそばで再びメイドさんが現れ、茶器を並べて行く。
「お座り下さい」
 茶が揃い、女王の促しに相原は腰を下ろし、レムリアは隣に座った。王座より見て左手に二人が並んだ形。
 そして、まず、レムリアが息を吸った。
「単刀直入に相談します。わたし、この人との結婚を前提に日本への移住を希望します。王位の継承は放棄します」
 厳かではないが、迷いもない。
 それは、レムリアの物言い、そのものであった。
 対し、女王は、間を置かず、しかしゆっくりと、頷いた。
「判りました。マナブさん、あなたのご意見をお聞かせ下さい」
 相原は「はい」と前置きして。
「日本の法が認める16歳の誕生日をもって婚姻届を提出したいと考えています。彼女の場合、日本での生活に必要なのは金銭面だけですが、私自身の給与水準で問題ないものと考えております」
 プロポーズ。レムリアは大いなる一線を越える自分を認識した。
「それまでは?」
 女王が尋ね、訳して伝え、レムリアは急に怖い気がして相原の服の裾を思わず掴んだ。
 なぜなら。
 

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