【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-59-
頼ってる。私今このひとを頼ってる。
自分の全てがこの人の言動に掛かっている。
お願い。どうかお願い。
一緒になりたい。
一緒になりたい。
「はい、日本の法の許す滞在基準に基づき、私の居所から日本の学校へ通ってもらう所存です」
「判りました。となるとメディア、あなたが王族であり続けるならば、それだけで日本政府へ滞在許可の申請が出来ますが、どうでしょう。マナブさんとの婚姻が成立するまでは王女のままでは」
「その方がスムーズ?」
レムリアは相原に尋ねた。
裾はギュッと握ったまま。
「多分ね」
相原は軽い声音で返した。日本の滞在条件は、異国王族が相手の場合、かなり緩い。
「判りました。では、法の許可が得られる日まで今のままで」
レムリアは答え、父母に向き直った。こだわりは無い一方、この王家という肩書きを毛嫌いしているわけでも無い。ただ、背負って行く、継いで行くという重責は無い。それだけの話。
母の目を見返す。それは、今までの母を見返す娘の目では無いことを自覚している。母子であり女王と王女であるが、“お互いに誰かの配偶者”という立場が新たに加わる。
レムリアは、掴んでいた相原の袖から手を離した。
「よろしい」
女王なる人は声を響かせた。
「判りました。メディア、わたくしはあなた方の結婚を前提とした交際、および同棲を許可します。父王の意見はありますか?」
女王は宣誓するように片手を挙げて述べ、その手を夫君に振り向け、発言権を渡した。
父王ゲンマ・メリディアーナ・アルフェラッツ。相原は王なる父に目を向けた。
レムリアには相原の心理に去来したものが見えている。日本で一般に結婚の挨拶は婿が嫁を娶る形態を取り、嫁の父が最終判断権者である。その情景はあまた物語でクライマックスとして扱われる。
娘の将来を他人たる男に委ねるのだ。応じた判断を要する。
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