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【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-64-

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「メディア姫……」
 驚きつつ、ぎこちなく頭を下げる。
「お久しぶりです。今日はご挨拶に伺いました」
「そんな、姫様が頭を下げられるなど」
 レムリアはもう、会釈という日本的挨拶が習い性になっている。対して頭下げられた“一般国民”は困惑するであろう。
「ああ、ついクセで。日本だとこんな感じなんです」
「日本(はぽね)……では、そちらの方が」
 件の発表は当然の如く国民個々に周知済みと考えて良い。囲む城壁で声が反射されるため、庭に来ずともほぼ全域にあまねく届く。耳を澄ませば。
「ええ、将来を約束した相手です」
 紹介され、相原は軽く会釈。保育士は笑顔を作り、
「そうですか、寂しくなります。でも……それで良いのだとも思います。姫様のご判断、物言いは、その時は不思議に思っても、後になって納得させられることが殆どです。今回も然りでありましょう。おめでとうございます。お幸せになられると信じています」
「ありがとうございます」
 この国で最大限の礼儀を示す拝礼は、右手を胸に右膝を突いて座し……云々と様式があるのだが、レムリアは機先を制してそれは止めてと言った。
「では。どうぞお元気で」
 自分から言う。女同士。気楽に。
「ええ、姫様も」
 ハグや握手をしたりは無し。尾を引くような別れ方は子ども達に感づかれると、子ども達以外の全てが認識している。
「ばいば~い」
 レムリアは無邪気に手を振る子ども達に笑顔で返した。
 門扉をくぐり、閉じて、背を向ける。
「もう一箇所、付き合って欲しい。こちらは……挨拶と言うより、決着」
「あいよ」
 相原は応じた。レムリアの相貌が文字通り豹変するのを相原は意識する。威嚇する母猫のよう。今にも髪の毛が逆立って湯気のように揺らぐが如く。
 

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