【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-65-
反するような、たおやかな歩みで幼稚園より角を折れること数回、街路進むこと数百歩。少し開けた空間にコンクリート2階建て。
「初等学校東」
低い鉄柵で囲まれており、大人の男ならひょいとまたげる程。
校庭はない。城下メインを挟んで反対側、国境税関も兼ねる駅の左方に古代ローマ様式のコロッセオがあり、運動系の授業は別の初等校と共同でそこを使う。
「何か雰囲気が淀んでんな」
相原が言った。学校には校風に応じた雰囲気が漂うことがある。それは通う子供もそんな心理状態に導く。薄いスモッグの中にあるように見えると彼は言い「理系の仕事してる人間の言うことじゃないけどな」と、最後に加えた。
「間違ってないよそれ」
レムリアは応じると、閉じた鉄の門扉脇、レンガの柱にあるインターホンのコールボタンを押した。
「いるかね」
「いるよ。いやむしろ来ると判ってて待ってる。向こうも待ってたんだよ、決着を」
決着……レムリアがそう表現した理由を相原は知っている。
ここアルフェラッツは欧亜境界に位置しており、人種的には欧州系、宗教的にはキリスト教系の色がそれぞれ濃い。王家の駆る魔法もキリスト教傍系のそれを含んだものが中心と言える。
ただ、カバラ等現存の魔術と異なるのは、東洋のシャーマニズムの因子が含まれること。
だから、人種的はコーカソイドである中、王家だけは東洋の、日本の街中で目立たない外見。
その結果。宣誓台における住民の反応および、
「メディアです。完全に国を離れることにしました。オルフェオ校長はおいでですね?」
レムリアは応じたインターホンに来意を告げた。
相手の反応を待たず鉄扉に手をする。ガチャンと音がして動きを拘束、施錠を告げるが、レムリアが構わず再度引くと門扉は素直に開いた。
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