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【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-66-

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 魔法である。が、今の作用はPK(念動力)に近い。相原は急に空が晴れ上がったという印象を持った。
 レムリアを初めて見た子供はまず笑顔になる。恐らく“淀み”を“晴れ上がらせた”主因はそれ。
 しかし、今の彼女は狩猟者のようである。コンクリート校舎に入り、階段を上がって行く。なお日本向けに記しておくが土足のままである。
 階段の上には待ち受けるように男が1名。スーツ姿で、老年とは感じないがほぼ禿げ上がった頭部の者。もみあげ等に金髪の名残。碧眼。
「これはこれは姫様」
 口角笑みして慇懃無礼。それが相原の抱いた印象。
「フィアンセです」
 レムリアは相原に手を向けて紹介した。
「お似合いで」
 皮肉に聞こえて間違いではない。相原はまばたきもせず、お義理に会釈。
「彼は肌がどうこう国籍がどうこう言いませんからね」
 意趣返しだが、通じないことも承知。
「オランダの暮らしはいかがでしたか?」
 訊かれたので答えることにする。
「沢山いるのにコミュニケーションを拒否されるのと、最初からひとりでコミュニケーションが必要ないのとでは随分違うんだということが理解出来ました。その結果、ひとりでいる子には何らか心傷付いてる可能性があるから声を掛けてあげよう。これは私の看護師としての活動で生かします」
 そこでレムリアは校長の目を真っ直ぐ見据える。校長はニヤニヤ笑って聞いている。
「それともう一つ、教員というのは平等かつひとりひとりに気を配れる……言うなれば真の優しさの持ち主でなければ務まらない、務めちゃいけないことも。これは貴殿の身の振りようで貴殿自らが示すべきと存じます。以上で報告とし、王族として強権を行使します。sayonara校長先生様」
 サヨナラは故意に日本語。
 

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