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【理絵子の夜話】新たな自分を見つける会-18-

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 対して理絵子は……長い髪に結んでポニーテールにしていた白いりぼんを解いた。
 それは場違い無関係見えて当然の所作であった。
「我に力を」
 理絵子は呟き、りぼんを両手で引っ張ってぴんと鳴らした。
 次の瞬間、りぼんの中に金色(こんじき)の煌めきが発し、次いでりぼん全体が金色の剛体へと変化した。
 刀と言うより、剥き身の刃そのものを素手にしている状況に似ていた。
 理絵子は鞭打つ要領で金剛のりぼんを権化へ向けて投じた。りぼんは、りぼんならではのしなやかさを持って空を舞い、尾を引く流星に似て金色の煌めきを放った。
 男性器さながら膨張していたそれは急激に萎縮した。恐怖の故の萎縮を彷彿させた。
 萎縮の故にりぼんの鞭は空を切った。
 失敗したかのようであった。
 対して、翻るりぼんに向かい、噛みつくように、権化が口を開き、飛び上がる。
 それは、権化が虚を突くことに成功したかのようであった。
 ここからはマイクロセカンド単位の現象変化。すなわち刹那の出来事である。
 りぼんには一本だけ、金色の髪の毛が織り込んである。それは、以前超時空で邂逅した聖戦士、伝説に名を残す超常の戦女から譲り受けたものである。最後の手段、お守りとして持つことを許可する……彼女が理絵子に伝えた言葉である。
 その髪の毛が瞬時に棘と化し、伸びた。りぼんから金色の鋭利が伸展し、噛みつこうと開かれた権化の口の中へ侵入し、喉元深く貫いた。権化の喉元、すなわち、
 声にならぬ声が空気を揺らし、口の奥に配された目玉を破裂せしめる。水玉よろしく弾けて飛び散る。
 金色の棘は径を太くし、針となり槍となり見る間に巨大化し、りぼんと一体を成し、刹那の後、そこにはちびた毒魚を巨大な槍で刺したような理絵子の姿があった。弱い者いじめと捉える者があってもおかしくなかった。
 

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