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【理絵子の夜話】新たな自分を見つける会-19-

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 権化の口から汚穢なものが流れ出す。現象は嘔吐に似るが、白濁したそれはむしろ性的な射出物を思わせた。もちろん、子種であろうはずが無く、真逆の存在、命を冒涜する意図の乗じたものと理解された。相対的に権化はその形象をこぢんまりさせた。剣先でナメクジが塩に溶ける様に似て。
 
-目くらまし
 
 示唆があった。
 理絵子が剣先から足下に目を転じると、滴下した白濁物が個々に意思を有したようで動き出すところであった。伸縮しつつ、迷っているように見えるが、しかし確実に進むその様は軟体動物のヒルを思わせる。
 彼らは失神状態で横たわる幾人かの女性を目す。
 理絵子はハッと気付いたように目を見開き、槍先のこぢんまりしたものを振り落とした。
 振り落とされた権化は微動だにしない。主体が分裂し、各ヒル状の異体に移ったようである。
 分裂すれば一度に処理できない。権化はそう判断したのだと理解された。
「のうまく さまんだ ばさらだん かん」
 比して理絵子は唱え、槍と化したそれで床をドン突いた。
 槍はりぼんに戻り、同時に円環状の炎を放射した。
 それは具象化した怒りの観念、怒りの炎そのものであった。
 床面広がる炎の輪はヒル状異体を飲み込み、その先はひとたまりも無かった。あがく間もなく溶解蒸発してしまう。分裂して一度に処理できない反面、個々の耐力は低下していたと判断された。
 以上、時間にして3秒か。
 意識あってその場にいる者は二人だけ。見届けたのは彼女たちだけ。理絵子と綾と。
 他の者は失神して横たわっている。八方に広がるように北村母子ら“信者”があり、その中心には“牧師”を称する者がある。ズボンを下げ尻丸出しで昏倒している有様は無様そのものである。その口元には嘔吐の痕跡。
「大丈夫?」
 理絵子は綾に問い、彼女が頷くと真言を唱えて指で宙を弾いた。それは机上の小石をはじき飛ばす動作に似て。
 

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