【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-68-
「何と言うおっしゃられようだ」
校長は大仰に両手を広げ、眉毛がハの字。
「証拠があれば認めるか?」
再び青い虹彩が動く。チェックメイトであった。
「2時間の猶予を与える。その間にこの城郭内から立ち去れ」
「姫様……」
「まだ言うか。汚らわしいから姫と言うな。それとも法の裁きを受けたいのか?お前がローデシア勢力と手を結んでいることなど既に把握済みだ」
「訳が判りませぬ」
「じゃぁこれは何だ」
レムリアが手のひら開いて提示したのはバッジ。
純白地に、米国南北戦争、南軍の旗を隅にあしらっている。イギリス連邦国家が国旗の隅にユニオンジャックを掲げているが同様のコンセプトである。
南軍……奴隷制維持を掲げた白人優越主義の象徴。
ローデシア。かつてアフリカに存在した白人優越主義国家。勢力はその残党。水面下でその主義主張を続ける企み。
レムリアの指摘は、校長はそういう組織に送り込まれたエージェント。
持ってして、そういう教育をし、洗脳せよ。この宗教的緩衝地を掌握し、恐らくは白人優越主義と密接に繋がる“キリスト教原理主義”に、この地の秘められた力を、魔法を取り込め。
理由の二つ目。要は国家乗っ取り。
オカルト、と一笑に付されるからこそ“本物”は偽物に紛れて生き残っていられる。
果たして校長は、無意識に、で、あろう。バッジの確認に己れのスーツの胸裏に手をしてしまった。
それは、キングが倒れた瞬間であった。
チェスであれば。
「くそっ!」
校長は暴言を口にし、意表を突いたつもりであろうか、相原に突っかかって行った。
その時、レムリアは、その旨の警告を相原に出すことも可能であった。
テレパスなら警告を発する猶予は充分であった。だが、相原が己に対する攻撃であると気付いた時点で、知らせる必要すらも無いと同時に知った。
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