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【理絵子の夜話】新たな自分を見つける会-24-

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 自分が正しいからこそ、選ばれた者しか自分に近づく権利は無い。それが北村由佳に醸成された基本行動心理であった。自己正当化の言そのものであるが、そう教育されれば、そう思うであろう。
 以上、理絵子が見通したことに、北村由佳を操る者……それは、悪魔をこの場に呼び寄せた本体であった……が、意外な反応を示した。
 曰く理絵子には知られたくなかった。近づかれたくなかった。
 知られると破壊されるから。この築き上げてきた“裏側の秩序”。
 怯えるようにじたばた暴れる。応じて北村由佳の手足が操り人形のようにカクカク動く。しかし、由佳の心に取り憑いたそれは、心丸ごとの浄化プロセスに取り込まれてしまった以上、逃げる術は無いのであった。
 「おん あびらうんけん ばさらだどばん」
 真言。大日如来。すなわち、太陽の聖霊を密教の流儀で召喚。
 日射しの暖かさ、心地よさ。
 それは北村由佳という女の子本来が有する女性性を共鳴励起した。
 北村由佳を操る者は、己が消されるものと恐怖した。霊的存在であり“死”は考える必要はないはずである。が、完全なる消去はあり得るとして恐怖する。
 虚無となる。人間は死を恐れているのではない。死の向こうにあるこの状態を恐れている。死の向こうに何があるのか確信の持てる者は無いから。
 北村由佳が目を開いた。
 夢の続きであるかのように彼女は感じている。そして、操る者の正体は、自分から別れて暴走した自分の一部であると認識している。
「人間だから、邪悪な部分もあって当然だよ」
 北村由佳の声なき問いに、理絵子は微笑みと頷きで答えた。
「そういうことか……」
「そう。人は大地の子。大地地球は太陽の子。太陽は死した他の星の残骸。人も同じ」
「私は一介の女の子。答えはこうかな“私と共にありなさい”」
「それで結構」
 

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