【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-74-
「マインドコントロール」
レムリアは言った。
船がコンピュータグラフィックスの合成画像のように忽然と空間に現れ、舷側に口が開き、スロープが延びて地に降りる。
ウェットスーツを思わせる黒い着衣の男2名と、神話に出て来る女神のような、ひらりとした白装束の女性1名。
男達はレムリアの背丈ほどもある長銃を抱えている。メガネ型端末を顔面に装着しており、碧眼の顔つきは瓜二つ。“アリスタルコス”“ラングレヌス”と称する双子であり、女性がセレネである。
男達はレムリア達の脇をすり抜けて走って行き、歩いてくる人々に銃口を向けた。
すると反射的に人々の手に得物が現れる。刃物であったり銃器であったり。
得物に向けて各々長銃から光線が走り、炙られたオモチャのように得物はぐんにゃり。
一方、船の背後から近づいた者があり、レムリアが気付くより早くセレネが動く。その装束を舞うようにひらめかせて近づき、レムリアが校長にしたように額にタッチ。
電撃を受けたようにその者は倒れた。スイッチが切れたロボットのように、瞳開いたままごろり。
「罠です」
セレネは日本語で言った。
「お城へ。ここは私たちが」
大量のマインドコントロールに襲わせ、対応に追われている間に。
両親を。
レムリアは罠の中身を知り目を見開いた。
スロープに更なる人影があり、レムリアはその水晶体を振り向ける。同様に黒衣を身につけ、長大な銃を抱えた男は船長“アルフォンスス”。
「相原、船を任せる」
「行くぞ」
相原はレムリアの手を取り、船長とすれ違いにスロープから船に乗り込んだ。
「ドクター、城へ」
スロープ脇の格納ボタンを押しながら相原は話す。イヤホン機械は骨伝導で声も拾う。
『アイ。3G加速する掴まれ』
スロープが格納され、スライドドアが閉じられる。アイはアイアイサーの意。3Gは加速度で、この数値はジェット旅客機の離陸時加速相当。
「了解」
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