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【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-76-

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 相原はそれだけ言い、先にらせん階段へ入った。
 レムリアは銃器の真意に気づき、ハッとした。
 自分の存在を悟られないようにする。忍者は、“雰囲気を消す”と言うが、それは探ってくる意志に対して反応を示さないことで可能となる。比して彼たちは探る意志そのものである。
 そればかりに頼ると、であるからこそ、機械の所作には逆に気付かない。
「探られてる、と思ったらオレに教えろ。注意を逸らす」
「どうやって……」
 レーダのようにスキャンしてくる思念。
「来た」
「アイ」
 相原はらせん階段の真下に向けて銃を放った。
 発射の破裂音が朗々と残響を引き、続いて、アルミ弾が床面突き抜ける音。
 地響き。
「城が進入防止モードになる。急いで」
 レムリアは言い、相原の手を引き、先頭になって走り出した。進入防止モード。石造りの構造物がゴロゴロ動いて砦に化けるのだ。地下に複雑な機構を持っているため、地下に想定外の衝撃があれば自衛で動き出す。相原の一撃で顕在化した。
 らせん階段が偽扉で封じられる直前に廊下へ入る。
「天井板ぶっ壊して反応しなかったのはなぜだい」
「誘い込んで閉じ込めるようになってる。中に幾らでも落とし穴あるから多少入られたところで状態。逆に言うとそうなってるから勝手に動かないで」
 あちこちから聞こえるドンドンという重い音、応じた震動。さながら震源。
「ついてきて」
 レムリアは走る。壁に手をして秘密の通路を開き、床をドンして秘密の階段。
 上がるようだが途中は鏡。数段上がって途中から降りる。
 真っ暗だがレムリアは自身の超常の感覚で、相原はグラスが有する暗視機能で足元を見ながら進む。
 足を止める。
「ここは王室の裏……悟られた」
 レムリアは呪文を口にした。唸るような低い声でミニマル反復のリズムを持って。
 

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