【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-77-
がちゃん、どん、ごろごろ、擬音で書けばそうなる。何かロックが外れて動力機構に接続し、大きく重く動く。
レムリアが足元で何かを踏んだ。
壁のレンガが崩れて目の前にバラバラに散乱し、光が二人の目を射る。玉座の間であり倒れている男が2名。
男は双方とも、燕尾服にシルクハット。
そして、玉座にありこちらを見る女王と父王。
レムリアは片手で相原を制した。相原は引き金に指を掛け、その場にとどまった。
レムリアから思念が流れ込む。それは、言語の形態を取っておらず概念であった。一瞬で何なのか理解できるが文字に起こすと以下のよう。燕尾服の二人は、普段は城で観光客を案内するガイド役。それが突如スイッチ入ったように玉座の間に来て父母に何かしようとした。否、父母の注意を引きつけようとした。
気付かれた、という悔恨と怒りの概念があり、倒れていた二人が身を起こし、その口から攻撃の呪文が投じられる。
レムリアがそれを阻止する。手のひらを“ことば”に向かって広げる。
ただ、それは盾で跳ね返すような現象にはならなかった。燕尾服の二人を大きなシャボン玉で包むように、阻止する膜が生成された。
呪詛を吸収し、膜が消えた。光と闇が相殺してゼロになる。レムリアは相原へ解説するように思念を寄越した。
それが罠だったと知る。阻止ではなく、封じる、べきであった。
燕尾服の再度の呪文。
比してレムリアの対応は遅れたかのように思えた。が、
相原手の中レールガンが発砲され、その破裂にも似た音は呪文をかき消し、唱えること自体、途切れさせた。
呪文による謀略の抑止に成功した、かのように思われた。
次の刹那、発砲されたレールガンのアルミ塊が床面を溶解させ、えぐった。
燕尾服の口に笑みが浮かんだ。そこまでが罠か。
魔が出現する。母娘の意識は揃ってそう言った。
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