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天使のアルバイト-007-

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 呆然としてしまう。今自分にあるのは、この恐らく病気であろう肉の身と、その付随現象と見られる頭痛。
 すなわち“人間並み”。
「大丈夫?」
 黙ったまま、まばたきすらしないエリアに、女の子が尋ねた。
 エリアはハッと気付く。私はこの女の子に見つけてもらったんだ。お礼を言わなくては。
「あなたは……」
 エリアは女の子に尋ねる。ようやく女の子を見つめられる状態となる。その女の子はどう見ても“自分と同じ”普通の人間、日本の女の子である。
 ほっそりと言うよりはか細い……か弱いと言っても良い。一見して小学校高学年という感じの、幼さの残る娘である。実際は高校生であるらしく、ジャージにはデザインされた“高”の文字が入っているが、子どもっぽい印象は否めない。ただ、輝く瞳には知性を覗かせ、精神的な成熟を感じる。
「沢口由紀子(さわぐちゆきこ)」
 女の子はエリアの目を見、自らの名を答えた。そして。
「あなたとっても繊細な声してるね。お姫様みたいに綺麗だし……服装もお姫様みたい。でもどうしてこんな所に落ちてたの?それに……何かこう、とっても不思議……」
 由紀子のその言葉に、エリアは思わず目を見開いた。
 思い出す。
「どうしたの?」
 問う由紀子にエリアは答えなかった。
 映像がフラッシュバックしている『ここではない場所、異境で、個人研修…特別授業をしていただくということです』。
 そういうことか。エリアは立ち上がって周囲を見回した。
 そんなエリアを見、今度は由紀子が目を剥く。
「え?は?あなたハダシじゃない!どうして?」
 由紀子はエリアを上から下まで見回し、指摘した。
 エリアは自分の足元を見やり、指摘通りの状況を認識し、次いでゆっくり、しおれる花のように腰を下ろし、由紀子の顔を、見た。
 大体、事態は把握できた。後は確認。
 

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