【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-79-
レムリアは相原に入室を許可した。そこでセレネから意識。-あなたは玉座の有様(ありよう)のみを見て。燕尾服は私に任せて。
声がした。
「人の形に具象化して良いか。話がしたい」
いない男の声。重心低い周波数分布であり、それだけで魅力的な風貌と表現できる。耳の細胞が捉えて聞こえたが、霧状の魔王が合成していると判じた。
「よろしい」
レムリアは威厳を持って許可した。
魔女は魔族の上に位置づけられる。相原は理解した。魔の力を御せる、だから魔女なのだ。
果たして黒い霧は人体の形象にまとまった。但しのっぺらぼうの、デッサン用の立体人形と評すか、ネット社会的表現を使うならアバター状態。
「私は醜い姿になる。この姿を許して欲しい」
「夫に問うな!」
レムリアは鋭く叱責した。
「申し訳ない」
萎縮の観念が形象に表出する。黒い人型は目に見えて縮んだ。
以下、この魔の集合体を表現する代名詞として“集魔”を用いる。
「以後は私とのみ会話を許可する。……あなたもね……続きを申せ」
「その勢力は、我々の知る者では無い」
“集魔”はいきなりとんでもないことを言った。は?
「お前の仲間では無いと申すか?」
レムリアは両親をチラと見た。どちらも“魔族”であるのだろうが。
何が違う。
「我らはアルフェラッツの僕(しもべ)が誇り。アルフェラッツは我らを消しはしなかった。元より力及ばぬこと承知。何を挑むことがあろうか」
「悪魔が悪魔の力を借りるのか?とかキリストが言ってたような」
相原が言った。確かに新約聖書にそんなやりとりがある。描かれている“魔”は悪魔のみ一種である。
それと違う、ということか。
父王が、口を開いた。
「メディア、“魔”が一つの族でのみある、いうのは単なる思い込みではないか?」
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