【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-80-
“悪魔”が堕天使を出自とする魔族であるのは、それこそ新約聖書の黙示録に書いてある。今、目の前の集魔はその直系というのがレムリアの理解。だから、人間の心理と親和性が高いのだ。
比して今この国を徘徊する、人種差別を肯定する“魔”は違うのか。
「説明を許されよ。我らは闇だ。しかし光あってこその闇であり、光のための闇だ。が、これらは異なる。我らを騙り、時に神をも騙り、別の何かでこの星を囲繞しようとしている」
集魔が、あろう事か、魔族が恐怖を抱いているのを、レムリアは感じた。
そして受け取った概念……バラバラ。
「我らと貴殿らは契約の下にある。繋がりだ。ゆえに我も今、個として具象化できていると考えている。貴殿が我を消去することは可能だが、行使しないと信じている」
「魔族が信じるとは滑稽だが、お前の心に私に対する恐怖は無い。その通りであろう」
レムリアは応じ、そして知った。
聖書に出て来る“悪魔の体系”は“天使の体系”の転写・影である。同様にヒエラルキ構造があり、相互につながりがある。もちろん、人間も同じ。結びつきがあるからこそ、人は人として自己を確立し、生きていられる。
他との関わりを断たれた人は、往々にして、生きている意味・存在価値を見いださない。
居てもいなくても何の関係もない、と自己認識するからである。
この集魔は繋がりを肯定している。集合しての一個体はその具現化と言えよう。
対して、今この城を囲繞し、国民を侵食している魔は“繋がり”そのものを断とうとしている。なるほど、異質である。
すると、
「その概念、断魔とでも名付けさせてもらおうか。平井和正の幻魔のパクりだけどな。殺すとか、滅ぼすよりも、行く末の結果は悲惨になるかも知れないぜ。人間という生き物の尊厳そのものへの挑戦だからな」
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