【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-81-
相原は言った。レムリアは現在、自分の思念をこの夫たる者に流し込んでいる。応じた彼の反応であった。
それはすなわち。
「新種の魔族と?」
レムリアは誰にともなく尋ねた。
母が言う。
「天使から悪魔が転じたように、人からもその属性を全く逆の位相とした魔が転じたのかも知れません」
「メディア殿……」
「何だ」
「ここに徘徊する者私に任せてもらえぬか」
「認めない。魔に借りを作るつもりは無い」
レムリアは即答した。
対し、女王が応じた。“異議”をレムリアは感じた。そして、反駁するものでもないとすぐに判じた。
「我が名において命ずる。集合魔バルトクロイツ。断魔を滅せよ(めっせよ)」
女王の命であった。
借りを作らない。そのために使役する。
「御意」
バルトクロイツと、“名付けられた”集合体たる魔は、霧状に戻ると、父王が操作し開いた王室天井から外へ出て行った。
なお、天井が開くのは月光を呼び込むためであり、伝承の技の正式名称……アルフェラッツ・ムーンライト・マジック・ドライブからして自明の機能と言える。
「名前を与えると存在を認めることになるんだ」
レムリアは相原への説明としてそれだけ言った。結果、女王が上位に立ち、提案に応ずるではなく使役側に立てる。
「彼らは破壊はするが創造はしない。光があるから影が出来る」
父王の説明。
レムリアはテレパスを拾った。
〈私です。これは一体……〉
副長セレネであった。映像が飛んできて識域で結像する。黒い霧が街を包んでおり、各所で人体を身動き不能にしている。
レムリアは母を見た。これは傍目には殺人行為に映らないか?
「滅せよと私は命じました。応じて彼は動いた。講じる手段を持つということでしょう。寄生者が宿主を支配するに近いようです。大丈夫、あなたが危惧するような内容ではありません……」
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