【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-83-
「お前が気にする事象では無い。下がれ」
比して女王は理由も述べず却下した。
黒い霧は床面下へすごすご……と言うのが適切か、いささかの諦念を示して潜っていった。まるで廃油のようなどろりとした動きであり、少しずつ穴から流れ落ちて行き、糸を引き、ひとしずくとなり、全部落ちた。それは圧倒的な能力差、権限の格差を感じさせた……相原の理解。
後は封印である。すると、父王の手に突然、レンガより一回り大きく切り出された石の塊が現れた。突然の質量出現に父王の手がガクンと下がり、ちょっと驚いたように体勢を立て直す。
それはすなわち石の出現が女王の所作によるマジックであることを示唆した。
「学殿」
父王は相原を呼んだ。
「何でしょう」
「封印は太古より繰り返し謀(はかりごと)によって破損と修復を繰り返してきた。が、先回の破壊より1200年。この形状を如何にしてその部位に整形付与し、形象を刻むか、術は失われて久しい。口述伝承のみ残存し、我ら男子にのみ受け継がれる。曰く、『英知と光もて封ぜよ。魔に悟られぬため術式を用いて刻印を生成してはならぬ』」
「つまり……」
相原の問いかけを遮り、レムリアが補足する。
「つまり、修理用の石はあるんだけど、壊れた形に加工して、はめ込んで、魔方陣刻印する技術が無い。魔法を使って魔方陣を描くと、魔がそれを盗んで封を解く可能性がある。で、伝承では英知と光を使って何とかしろ。光は栄光(グローリー)の意味かも」
その説明に相原は頷き、床面を見渡し。
「魔法陣は裏?」
「うん」
「するとまず裏返す。石を加工しはめ込む。魔方陣を描き直す。再度裏返して元通り。光は使って良い」
「そうだね。でも光って……何か出来るの?判るの?」
レムリアは言い、相原の言い回しにハッとした。
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