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【魔法少女レムリアシリーズ】Baby Face-85-

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「了解……ここ、開けっぱで作業してOK?」
 相原は猶予に答えると、天井を指さして訊いた。レムリアは質問先が自分だと気づき、我に返って。
「ええ、中庭に降りるより船には安全でしょう」
「了解。聞いての通りです」
 欧州冬期で吹きさらしだが寒くは無い。
「それは応じた“場”が出来ているから」
 レムリアは相原の意を読んで説明した。
「実はこの蓋の下、魔物達が心地よいように作ってあるんだ。結界は外部侵入阻止と共に、そういう環境の保全も意図している。さっきの彼が戻った理由の半分はそれもあると思う」
「魔物を守る……」
「使役者の義務だよ」
 言葉かき消すようにアルゴ号が飛来した。上空に静止し、マストを倒し、帆を広げ、パラシュートのように扱い、真下へ降りてくる。
「ドクターまた新たな技を……」
 相原は小さく笑った。アルゴ号は通常高圧空気を噴射して徐々に降りてくる。学校前の暴風の正体である。不可能な場合帆膜を広げて滑空する。ただ滑空は紙飛行機と同じであり、降下着陸には応じた空間を必要とする。
 比してパラシュートは更なる降下法であり、真下に降りられることになる。但し若干前後左右にエアを吹き、垂直降下実現のため制御を行っているようだ。
 船が近づいてそれと知る。城の天井空間に対してアルゴ号船体は大きく、王室内に入るには至らず。
『入れないが』
「城壁にまたがって着船されて構いません」
 女王が答え、船は竜骨二カ所で王室の壁面上端に接し、その帆膜を前後に広げて補助接地点とし、船体バランスを確保した。
「で?どうするの?」
 尋ねたレムリアに相原は笑みを返す。
「まずこの蓋をひっくり返す。船内、現在操舵権はシュレーター博士という理解で宜しいか」
『その通りだ』
「レムリア、お父様、お母様、そこへ待避を。ドクター、我々が壁の後ろに下がったら……」
 

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