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【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-01-

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 フィギュアスケートのターンよろしく、姿見の前で彼女はくるりと1回転。紺色のスカートが花開くようにふわりと広がり、そして閉じる。
「セーラー服の方が良かったか?」
 立て膝で見ているメガネの男に訊かれる。上下紺色ブレザーの彼女は、首を左右に振って否定し、振り返った。
 キラキラと瞳輝くショートカットの娘。ころん、とした顔立ちの持ち主であり、少女マンガのヒロインという表現がぴったり。
「ううん。構わない。憧れだったんだ日本の制服。こんな可愛いシステムはめったに無いよ」
 そう言う彼女を、メガネ男は頷いて下から上へと見上げた。
 二人の背後でふすまが開く。
「あら……可愛いねぇ。怖いくらい」
 そう感想を述べたのは男の母親。男は22歳であるからして、応じた年齢。
 一方彼女はブレザーまとって畳の上に立ってはいるが、この母子と血縁関係は無く、それ以前に日本人ですら無い。しかし、彼女の容姿を見てそうと気付く者はまずおるまい。身長153センチ。
「校則に違反しない?スカートの長さ」
 彼女は屈んで男に尋ねた。購入時よりミニに改造して膝上にしている。というのも、街中で、繁華街で見かけた日本の女の子達はみんなミニであり、応じて可愛らしく感ぜられ、自分の髪型ショートカットとのバランスも考えて最初からミニにしてみた。
「『極端に短すぎないこと』ってだけだし、大体この辺の子達そんなもんだからいいんじゃね?黒髪すっぴん飾り物無し。王道の14歳大和撫子出来上がりだぜ」
「やった!」
 男の評を聞いて、彼女は両手を合わせてパチンと鳴らした。これは彼女が嬉しいとか合点が行った時に見せる特有の仕草である。
 母親がボソッと言う。
「あんたを生んで正解だったわ。ようやく合点が言った」
 

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