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天使のアルバイト-017-

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 それに対し……エリアは思い知らされる。自分はなんという恵まれた環境で生まれ育ち、生きていたか。
 それなのに、それなのに、自分は。
 母親が続ける。
「しかも……それと関連あるのか体力なくてねぇ。ちょっと動くと貧血起こすの。だからあまりあの子と遊んでくれる友達いなくてね。それが、いきなりあんたをおぶって来た日にゃぁ、そりゃ二重の意味で驚いたよ」
 エリアはそれを聞いて目を剥いた。
「ご、ごめんなさい。じゃあ私、彼女に相当な無理を……」
「謝ることかい。あの子が好きでやったんだから。ま、そういうわけで普通の娘とは言えないけど、というか、どっちか言うとすごく変な娘だけど、良かったら遊んでやって」
 それはもちろん……というエリアの台詞に重なって、別室から由紀子の声が飛んでくる。
「お母さん、余計なこと言って!」
「やれやれ、全く元気なんだか病気なんだかね。さ、出来たよ。座った座った」
「すみません……なんかもう何から何まで……こんな、服まで貸していただいて……」
 エリアはダイニングテーブルに移動しながら、着ているジャージ……由紀子の中学時代のもの……をつまんで言った。何にも出来ないので恐縮するより他ない。
「あんな学芸会みたいなの着て動き回れるもんかい。しかしつくづく不思議な娘だねあんたは、全然育ちが違うって感じだよ。勘当されたって?」
「はあ、まあ」
 エリアはテーブルについてうつむく。置かれた皿の夕食はハンバーグ。
「由紀子食べないから二つあげる」
 ひどーい!という隣室布団の中からの抗議。
「いいからあんたは寝てなさい!ああ、ごめんよ。理由を探ろうというんじゃないんだ。ただ、アルバイトの口を探すとなるとさ、ホラ、どうしても私の知り合いってことになるからさ、あんたのこと、説明できないと困るじゃない」
 

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