【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-02-
「どういう論理でそうなる。あ、やっぱ言うな、よくぞこの天使我が家にってんだろ。それが唯一最大の功績で以外は黒歴史ってんだろ?」
男は眉毛をねじ曲げ、背後母親を見上げた。
「その通りです。彼女に免じて引き続きこの家に居住をすることを許可する。さ、姫ちゃんはもう寝な。学校通うなら規則正しい生活リズム身につけて行かないと」
「はーい。学(まなぶ)追い出してごめんね」
彼女は母子の会話に笑うと、ブレザー一式収まっていた大ぶりなボール紙の箱を、付属の取っ手でぶら下げ、畳の部屋を後にした。
階段を昇って行く軽やかな足音。
幾らか説明すべきことがあろう。端的には彼女はこの家……相原香(かおる)・学の母子宅に居候することとなり、明日3学期初日から近所中学校に転入するという次第だ。相原学を“追い出した”というのは、学の自室を彼女に明け渡したことによる。なお、学自身は父親(故人)の部屋へ移る。
「勿体ない話で」
母親が余韻の中で言った。
「分不相応ってか?付き合っているなら責任持つ意志示せと言ったのは母者(ははじゃ)だぜ」
学は姿見をタンスの脇へ移動させながら応じた。
この会話の意味するところは次の通り、彼女と学は婚約している。
但し、日本の法律上、女性が結婚できるのは16歳からであるから、彼女はそれまで帰化の上居候、という次第。なお彼女は本名をメディア・ボレアリス・アルフェラッツ、というが、帰化に当たって相原姫子(あいはらひめこ)と改名した。
「もう、王様姫様の時代じゃないのかねぇ」
母親はため息交じりに言った。彼女の名前、“アルフェラッツ”というのは国の名である。王族の娘、要するに姫様なのだ。“姫子”という名はそこに因する。なお、彼女はインターネット上のハンドルネームを“レムリア”としており、学とのコミュニケーションは「学」「レムリア」である。以下本稿では彼女の意を汲んで彼女をレムリアと呼ぶ。
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