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天使のアルバイト-020-

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「でも、オトナって一方的だな~とあたしも思うよ」
 由紀子が言う。
「何かやらせたかったら、その理由を言えばいいのにさ。頭ごなしに『言うこと聞け』ってだけ。わけも判らず言いなりになれと言われたら、誰だって頭来るでしょうがって。結局コドモはコドモであって、人間じゃないんだよね」
「論客だね~」
 母親が感想を述べる。ちょっとふざけた口調。
「茶化さないで」
「はいはい」
 エリアは母娘のやりとりを、少々驚きを持って聞いた。
 年少者は年長者の言うことを唯々諾々と聞くべし。よく見られる親子の関係がここにはないらしい。
 由紀子が勝ち気に笑う。
「この情報社会に生きている以上、コドモだっていろいろ知りますよ。何も知らず親の手のひらで遊んでいた孫悟空の時代じゃないから。オトナの皆さんもその辺わきまえて変わってくれなくちゃ」
「はいはい。全くもう、親より頭のいい子もつと苦労するわ。エリカさん、由紀子と遊ぶの程々にね。また風邪ぶりかえしたらたまったものじゃないわ」
 母親は言うと立ち上がり、逃げるように退室した。
 エリアは母親を見送りと、由紀子に目を戻した。
「すごいね、あなた」
 少なくとも聞きかじっていた、“ティーンエイジャー”のイメージと、眼前のこの少女とは異なるようだ。エリアの知る限り、後向き、いやルーズと言えようか、最近の若者、イコール、芯も目的もなく、ただ単に惰性で淡々と日々を送っている、というイメージがあったからだ。
 しかし、この華奢な体躯の少女には、そうした気配は微塵も感じない。どころかむしろ、精神的には芯の強さすら感じる。
「別に……みんなそうだと思うんだ。ただ、言いたいけどうまく表現できないだけで。私はそこを露骨に口に出してるだけ。そっか、あなたも学校嫌いだっけ」
 由紀子は苦笑混じりに言った。
 

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