【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-03-
「まぁ、もう魔女の時代じゃない、ってのは確かだな。農産物で自活できるか、工業製品を生み出すか。何かしら自分で食い扶持稼げない国家は今日び無理だって。規模も実情もイメージとしてはバチカンに近いわ。あそこがキリスト教の本家という箔を取られたら?みたいな感じさ」
相原学はふすまを開いてリビングへ戻る。
と、パジャマ姿のレムリアがこたつでみかん。
「深刻な話?」
彼女は訊いた。
その膝上には三毛ネコがいてにゃぁ。一般にネコは家族を識別するが、彼女には当初から懐き、今や完全な“最初からの家族”扱い。
「素早い姫様だこと」
さっき階段登っていったばかりのはず。母親の驚きはそれ。なのに気がつくとここにいる。少し、常識を越えている。
しかし相原は驚きもせず。
「王家の運営は大変な時代だなって説明をしてた。まして中世に魔法で生計を立ててた国家が今となっては、ってね」
相原母子は相次いでこたつに収まった。
「貧乏王国でゴメンナサイ」
レムリアは言った。ちなみに王家自体は解体の方向。過渡的に立憲君主制を敷き、彼女の両親が世を去った時点で議会制民主主義に移行する。なお、往事の生業は出てきた通り、魔法を使った国家間仲裁や除霊託宣である。それが農業立国、近代産業化、どっちも妨げ、結果として現在になり王家運営不能に陥った。その点で今後の産業は不明確なのだが、ルクセンブルク、リヒテンシュタインなどに範を取った金融都市国家として自立を目指すと聞いている。ただ、彼女にとって、そこから先は実のところ余り興味は無い。なぜなら、国民の殆どが20世紀以降入れ替わってしまったからだ。一部商店、生活物資の生産業を除けば、早い話が宗教的良心から受け入れた流民たちである。
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