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2015年9月 2日 (水)

天使のアルバイト-021-

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 そして少し、エリアから目線を外して、
「友達のいない学校、人は大勢いるのにコミュニケーションなし。辛いよこれは。最初から誰もいない無人境ならあきらめもつくけど」
 呟くように、ぽそぽそっと喋る。早口気味に。
 エリアは由紀子の心に影を見た。
 テレパシーというよりシンパシーであろう。病弱で華奢で、ともすれば小学生と間違えそうなこの少女は、しかし知的なそのココロに、背負いきれないほどの辛い思いを抱えている。
「ごめんね、何泣いてんだろね。あたしバカだよね」
 苦笑する由紀子の瞳に煌めきが浮かぶ。しかし彼女はそれを溢れさせようとはしない。
 しかし、エリアには判る。その涙、溢れそうでとどめている涙が、この少女の抱えている思いの多さを象徴している。
「確かに……一緒にカラオケ行けないよ。体育見学ばかりだよ。夜更かしすると高熱出すよ。そのくせたまに仲間に入れると知ったかぶりばっかり言うよ。
 普通の女の子じゃないよ。でも、私は信じてる。そんな私でも認めてくれる人が必ず現れるって。ああごめんなさい。あなたにこんなこと言うつもりなんかなかった……んだけど、何かあなたに優しくしてもらって……お喋りして、あなたの雰囲気というか……つい……」
 エリアは由紀子の瞳の煌めきが溢れ出す前に、彼女を抱きしめた。
 そういうところを見られたくないのだと感じたからだ。コドモではない、“一人の人間”として認めてもらいたいというのは、年齢的にそろそろ出現してくる相応な心理だろう。
 しかし、実際の周りの反応はそうではない。子ども時代と変わらないと書こうか。この自他の意識の乖離は、理解者がいない以上抑圧するしかなく、抑圧の与えるストレスは涙に現れる。
 ところがその“涙”は、人格が求めるものとは裏腹に“子どもっぽい”感情表現。だから、“見せたくない”。
 

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