【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-07-
「あの、間違っていたらごめんなさい。あなたテレビに出て……」
クラス中にざわめきが広がる。各人の持つ“特異な感情”の正体がそれであると全員気付かされた。
興味津々の瞠目72、彼女に集まる。
「あー、あの姫様とよく似てるとは言われます。実態はただのオテンバですが」
なーんだ。クラス中のテンションが下がり、同時にある種の安心感が支配する。
一体となって動くもんだと彼女は別の感慨を抱いている。いつぞや、いじめられてる女の子のそばにいたことがあったが、教室に入り込んで、まではしていない。こういう全体が動くという挙動・性質を把握していれば、また違った対応が取れたかも知れぬ。そういえば“みんなと同じコトしないといけない”みたいな流れが存在し、同調圧力と言う、と、相原学から聞いた。
「ああ、みんなもそう思ってたのね。先生もそう思った。でも違うんだ」
「ほぼ同じ容姿で手品が得意、日本語ぺらぺらではそう思われても仕方ないかと……」
彼女は両の手のひらを交互に握り開き、都度あめ玉を出現させた。
言葉を濁したが、実際は、テレビに出たことは、ある。ボランティア団体で活動する日本語ぺらぺらの手品得意な姫様……他ならぬ自分である。先年日本で開かれた博覧会において、子供達に危機が迫ってるみたいなパネルディスカッションで喋ったことがある。
ただその身分は隠しておきたいので肯定はしない。なぜなら特別扱いというか、普通の友達として付き合ってもらえなくなる可能性が高いからだ。一方で嘘つきはイヤなので否定もしない。
あめ玉36個。ちなみに時節柄を考え、のど飴である。
「これはその彼女の流儀の真似で……ご挨拶と言うことで。後ろ回して下さい」
居並ぶ座席各列先頭に小分けして渡す。
とってつけたように更に1個。
「はい先生も。こんなとんでもない奴ですがよろしくお願いします」
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