【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-10-
彼女は奈良井教諭に目を合わせた。
「えーと、給食当番の割烹着というのは個々人で持つんですか?」
「いいえ、順番に使います。アイロンがけして次の当番の方に渡してもらう仕組みです」
「判りました」
チャイムが鳴る。1時限目はそのまま奈良井教諭の持ち分で英語。
彼女は記したように帰化したわけだが、それまで国際的な医療ボランティア団体に属し、世界中を飛び回っていた。このため英語はもちろん、母国語含め12カ国語を操る。
その目で中学2年の英語テキスト見た感じ、挨拶程度の簡単な会話に使えるレベルと感じた。ただ、文法に偏った内容であり、これでは読み書きできてもリアルタイムの会話は苦しいだろうという印象。いちいち順序や形態を考えながら喋る形になるからだ。日本語で顔文字やネットスラングが流行るのと一緒で、英語も日常会話は流体の如く変化している。比してこの教科書英語はシャーロックホームズ時代のイギリス気取りな印象だ。
「まぁ3学期いきなり授業もかったるいので、まず復習小テストね」
え~、というブーイングがクラス中から上がる。かったるいから難しくない話、と思うのが普通のところ、テストだ、と真逆に攻めた。それはある種のギャグなのだと判る。
軽妙な会話、応じたクラス一体の反応、それはこの担任奈良井がクラスを掌握し、ドライブできている、というのがレムリアの印象。
「てなわけでいきなりテストなんだけどいいかなぁ相原さん」
「一応教科書サラっと見てきましたし、英語使ってましたが、ショボーンな(しょぼーんとするような散々な)点だったらその化けの皮が剥がれたということで」
返したら、担任奈良井はもう我慢の限界とばかり吹き出した。
「はっはっは。あなた丁寧なのに面白いのね。会話で相手を楽しませよう、そんな意図を感じる。出身は大阪?ああでもさっき名古屋弁って言ってたねぇ」
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