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【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-12-

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「そう?」
 実際問題、簡潔明瞭が求められる現場にいるわけで、自ずとそういう文字になるのであろう。ちなみにブロック体で書く。筆記体は書けるは書けるが、逆に読めないと言われることが多いので使わない。“流動的に変化している”のである。
「あなたの字も綺麗だよ」
 言ったら、溝口は照れたように肩をすぼめた。
 答え合わせ。
 成句as soon asを使わせたかったのだと皆の答案で彼女は気付いた。
「先生」
 溝口が挙手。
「はい」
「相原さんwhileを使っていて意味は一緒ですが……」
「いいよ。というか相原さん。もし、教科書の言い回しで別の表現が出来るものがあったら積極的に発表して欲しい。『これを使わなくちゃ』って意識が英語に対するハードルを上げてると先生思ってて」
 予想外の物言い。だがそれは“自分をクラスに溶け込ます算段”だと彼女は気付いた。
 一般に英語ぺらぺら数学バキバキはやっかみを買う……とは相原から聞いた話で、前述、いじめられていた女の子のトリガーがまさにそれ。
 対して、元より得意で当然であるから、逆手に取る作戦ということか。
「判りました……というか、こんな公文書的な言い回し殆ど使いません。at the same timeと何が違うんじゃいって話です」
 これにまた薮原が足バタバタさせて爆笑。
「ブハハ。ごめんね。理由分かった。あなた転入生なのにまるで最初からここにいたみたいだし、めっちゃ美人なのに面白いこと言うから笑えるんだよ」
 
 
 一時限目終了。溝口がトイレの要否を訊いてきたが、無いと答えたら、彼女はひとりで立ち上がって去った。
 するとレムリアのそばに薮原が飛ぶように走って来、相次いで他の女子、そして男子達も駆け寄ってきて、要するにレムリアは級友に囲まれた。
 

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