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【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-13-

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 女子軍(?)が座り込んで陣取り、その周囲に男子達が立って覗き込んだ。
 居並ぶ学生達の中で、異彩を放つとはまさにこのことと言って良かった。レムリアにはこの年代特有の浮わついた感じは無く、逆に自信に満ち、落ち着いて悠然としている。看護師資格という職もありフィアンセもいるのだ。不確定な未来への不安はなく、応じて反映された振る舞いとなる。そして薮原はレムリアを美人と評したが、新天地への興味がもたらす見開かれた双眸は満ちた自信のゆえか黒々とし、僅かな外光の挙動にすら煌めき、微笑みを刻む。もって彼女は一気にヒロインになった。
 内奥に光源を蔵したかの如き、文字通り輝くような美少女である。
「ちょっと半端なくね?」
「ちょー萌える。震える。なんだこれええ!!」
 男子二人が雄叫び上げるように言って笑いあう。それらは本来ひそひそと交わされる内容であろうが、桁違いの故にその場で口を突いて出た、のであろう。
「帰国子女……」
「みたいなもん」
「彼氏は?」
 薮原が訊いて自分で照れる。
「お、ダイレクト」
 囃す声。しかし、
「おるよ」
 彼女は素直に即答した。もったいぶるものでもあるまい。
 あーと声を上げてくずおれる男子軍。同時に怒濤のように離れ去って行く“一目惚れ”の圧力感。
「たはは、ごめんね」
「えーガイジンの男の子?」
 男子軍に比して女子軍の瞳輝く。
「うにゃ。おっさん臭い社会人。ここから歩いて10分に住んでる。彼女がコレです世間に露見したら彼の社会的地位が危ない」
 レムリアはこれですと自分を指さした。
「えーエッチとかしてるわけ?」
 そう来るか。彼女は微笑した。が、マンガみたいにイヤン恥ずかしいとか思わない自分も大概か。
「あ、それはない。本当に大事だから結婚するまでしないって。若すぎる妊娠は母体を傷つけるし」
 

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