【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-15-
薮原の物言いに頷きが幾らか。
「ねぇ、本当にあのお姫様じゃないの?確かあの姫様も看護師でしょ」
背後から訊いてきた女の子あり。名札には贄川(にえかわ)。
レムリアはゆっくり首をひねり。
「魔法の国のお姫様……に見える?そら名前姫子だけっども」
自分指さして問う。
実際はそのものなのだが、突拍子のないことほど、真っ向から訊くと肯定は出てこないもの。
ただ、嘘はつきたくない。
「微妙……かも……」
贄川はそう言い、笑みを作った。“ごめんなさい”の微笑だ。
「だべしょ?」
レムリアが応じたら笑いが取れた。
「ねぇ、姫さん彼氏ってかっこいいの?」
野太い声。男子からだ。
背が高くて筋肉質、短髪の少年である。随分大人びており、喉仏がぐりぐり動く。平沢という。
「かっこいい?どうかな。身長168。あなたより低いでしょう。メガネ顔のエンジニア。ロケットエンジンの設計やってるよ」
男女拠らず、おー、と歓声。
「それめちゃくちゃかっこいいんですけど」
男の子の瞳が開く。ロケットエンジン。すなわち大出力と宇宙。
男子中学生には夢と憧れ……レムリアはようやく気付いた。彼女のこの辺の鈍さには理由がある。追って書くことになろう。
「でも秋葉原大好きのオタクだよ」
するとガッツポーズの平沢。
「おれアキバ大好き」
「アニメやフィギュアより電子回路って手合いだけどね」
「そっちかあああ。うわああああ」
平沢は古いビルのようにくずおれた。
「ヒラだせぇ」
「ちゅどーん。爆裂」
笑いが収まり、以下インタビューのようになる。記者会見みたいと思いつつ彼女は答えて行く。前の居留地はアムステルダム。将来目標は医師か看護師。
「そのよく似た姫様に影響されてねぇ。彼女は手品を子供の目を引くキャッチアイテムに使ってるわけでしょ。応用できるなって。そこに、単純に、誰かの役に立ちたいって思う気持ちがくっついた。日本ってそういう国じゃんって思うしね。あと、日本語出来るって有利なんだ。日本の製薬会社とか良く海外向けに寄付や援助するけど、日本向けのパッケージなり取説のままなんだ。読めないんだよ」
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