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【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-17-

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「ごめん、もう大体暗記してる。道も店も危ないところも。逆にレアものフィギュアの隠れた名店知りたいってなら案内できるし。あ、換気扇とかダクトファンの専門店もあるよ、そういう方面なら天国」
 サラサラっと話したら、平沢の目が大きく開かれた。それは彼の想定を外れた言動であったことを意味した。
「何それ。換気扇だけ?マジ?」
「マジ。あれ知らない?末広町(すえひろちょう)の方までは行かないの?」
「うわヒラだっせえ」
「姫ちゃんの勝ち」
 言われて、“両手でピース”をやったらチャイムが鳴った。
 男女二重の輪の外から、呆気にとられたように見ている溝口。
 
 
 帰宅時ホームルーム。本日より女子生徒の単独登下校は基本的に禁止、という達しが出たと聞かされた。曰く変態紳士が出没したためという。なので極力二人以上で。
「えーと、誰か相原さんと一緒に……」
 奈良井が言い終わる前に男子生徒達がこぞって手を上げたのであったが、
「逆に危ない」
 と一笑に付され、溝口が指名された。
「あ、はい……」
 溝口は驚いたように、次いで少し嬉しそうに笑み。
 これにレムリアは奈良井の何らか意図を感じた。半日だけであるが、彼女はこのクラスの持つノリというか波動と少し波長が異なるように思われる。特に女子はいずれも数名ずつグループで行動することが多いようだが彼女は違う。最も、今日の休み時間はいずれも自分の世話役だったのでそう見えただけかも知れぬ。
 ここで奈良井の意図をあらかじめ知ることは可能であっただろう。魔女であり応じた超感覚持っている。だが、レムリアはその方策を排除した。不自然に判ってしまうと不自然な言動に繋がり、それは往々にして誰か傷つける。
 一方で自分の利害に繋がる情報は勝手に拾い上げるのもこの能力の特徴で、不随意な部分である。その女子グループが今この瞬間に方々で形成され、何やら秘密の合意形成。
 

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