【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-18-
どうやら当てこすりの悪口を言っていると判る。それは溝口の“波長の違い”を裏打ちした。ただ、同様に探る気は無い。
必要に応じ、天の意志で開示される。自分の力そういうもんだ。
恐らく。
「では、解散」
ノート教科書をカバンに収め、マフラー巻いて手袋をし、溝口を待つ。
「ああ、ごめんね待たせて……」
いわゆるのんびり屋さんであることは瞭然。その間に教室からはどんどん生徒達が去って行く。
「姫ちゃんまたね~」
「ばいば~い」
「もう、友達になったんだね」
首をひねって手を振っていたら、溝口が、ぽそっ、と言った。
寂しそうに。
少し考えて対応する必要がある。レムリアの抱いた気持ちまずそれ。そして、“天の意志”少し。
「みんなノリがいいね。いい意味ではみ出してると感じるよ。学校ってもっと統制というか画一的なイメージがあったから」
カバンを手にし、
イスを、机の中に。
「お待たせ」
自分を見上げるその笑顔は無理矢理がありあり。
下駄箱の履き替えでもレムリアが先に終わって溝口を待つ。
それが彼女にプレッシャーになっているとレムリアは知る。
学校で求められることに集団の統率というのはあるだろう。そこには自ずと行動速度の下限値があるだろう。この溝口という娘はその下限値以下であるという自覚があるのだ。
「いつも言われるんだ。遅い、って」
スニーカーを履き、ようやく立ち上がった溝口の手をレムリアは取った。
細っこく、冷たい感じがあり、柔らかく、筋肉の感触が薄い。低体温、或いはいわゆる血の気が薄いと言われる状態か。どっちにせよ、思春期で脂肪が乗って行きます、という感じではない。
対し溝口は驚いたようにレムリアを見る。
「相原……」
「姫子か姫ちゃんでいいよ」
「姫ちゃん、手のひら、熱い」
それはよく言われることで別に驚かない。
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