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天使のアルバイト-037-

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「すいませんでした」
 エリアは立ち上がり、もう一度頭を下げた。
「ええホントにすいませんですよ。……あらあんた見習いなの。今度から気をつけてちょうだいよ」
「はい、申し訳ございません」
 母親が男の子の手を引いて去る。名残惜しそうにこちらを見つめる男の子に、エリアは小さく手を振った。
「ばいばい」
 男の子がにっこり笑い、母子の姿が角に消える。エリアは安堵し、ため息をついた。笑顔は大安売りすればいいという物でもないらしい。
 納得と、寂しさが、背中合わせのような、複雑な気持ち。
 でも、これも一つ勉強だ。エリアは気を取り直し、陳列を再開する。
 背後に気配。
「まぁ、いろいろとあるよ」
 店長である。隠れて様子を見ていたのだ。
「すいません、まさかあんなことに……」
「いやいや、妥当なところだろう。“先を読んで行動”ってのはなかなか難しいしな。君、うまいよ」
「そうでしょうか」
 エリアははにかんだ。あれで一杯いっぱいである。うまく行かなかったらお手上げだったところだ。
 店長はゆっくり頷いた。
「うん、良かったよ。最後に男の子がにっこり笑ったのに気付いたかい?納得しただけじゃない。あれは明らかに君のことが気に入った。小さい子は美人かどうかでなく、相手が自分にとって敵か味方かを……」
 そこで店内放送。
『業務連絡。店長8番です』
「ごめんな」
 店長は話をちぎって行こうとし、足を止めた。
「君も一緒に」
「え?」
「8番は迷子なんだよ。いずれあることだし、ついでに。それに君はそっち方面素質がありそうだ」
 店長は言った。“そっち方面”とは、自分に“小さい子を扱う”能力があると見ているということ。
 それは全く構わない。だが問題は……
「陳列は…」
「他にやらせるさ。高木!ちょっと」
「はい」
 

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