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天使のアルバイト-043-

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「あたしを見てよ。17に見える?これじゃまるで小学生。医者の言うように全然育たない。そしてそう、恐らく医者の言うとおり私の命はあと三年も持たない。見たことあるんだ。育たずに死んだ子猫。それと同じ」
 由紀子の声が、暗闇のナイフのような、冷たさと鋭さを帯びる。
 それは恐らく、彼女が誰かに聞いてもらいたかった本当の気持ち。
 そして恐らく、自分自身認めたくなかったこと。
「夢を持っても叶えられない。勉強したって活かせない。何度、何十度、自暴自棄になりかけたことか……」
 由紀子は自分の手首を見つめた。
 エリアはすぐには何も言わなかった。
 つられて出そうになる瞼の裏側のものをこらえ、由紀子の目をまっすぐに見る。
 なすべきことを自覚する。由紀子の思考の向きを変えなくてはならない。
 自分を助けてくれた女の子が、死を意識しながら日々を送るなんて。
 あってたまるか。
 エリアは生じた強い気持ちを意識した。対して、由紀子の表情が、エリアを見つめる由紀子の表情が、驚きを含んだものに変わる。
「エリカどうしたの?怒った?何か怖……」
「信じてるの?」
 エリアは感情を殺した声で言った。
「え?」
「そのヤブ医者の言うことを真に受けてるの?」
 由紀子の瞳が大きく開かれた。
「そのヤブ医者にあなたの命は弄ばれてるの?あなた医者に命預けてるの?」
「それは……」
「違うでしょ。あなたの人生はあなたのもの。あなたが自分で設計し、切り開いてゆくものでしょ。ひとつ訊いていい?」
「……なに?」
 エリアの声は責め立てているかのように感じたであろう。由紀子の声は小さく、気圧されたか、腰が引けた感じであり、まばたき一つしない。
「心身相関現象って知ってる?」
「名前だけは……」
 

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