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【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-28-

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「ま、魔女なわけよ」
 レムリアはいきなり言った。そして金曜と同じ、唇に指をあてがう動作をしてみせる。
 溝口の目が見開かれた。
「魔女……魔法の国の……」
「そう。原野さんだっけ。彼女に言われた時は速攻バレたかと焦った」
「本当の……」
「ほうきじゃなくてこんなもんで空飛ぶけどね」
 一通り話して聞かせる。テレビに出ていた王女様というのは正解で、フィアンセ出来て日本に帰化した。しかも王国の魔法というのは健在で、誰も利用者がなくなっただけ。ちなみに中世魔法が幅をきかせていた時代は、宗教を超えた位置にあることから、主として戦争仲介、開戦防止を生業としていた。結果都市国家となり他の産業が育たなかったことがアダとなり、今はその時代の遺構を活かした観光、程度しか収入源は無い。王族を養って行くことは許される時代では無く、王族は解体。サンマリノのような直接自治国家とし、ルクセンブルクばりの金融経済で食って行く予定。
「魔法の……国の……お姫様」
 溝口は言いながらレムリアの手を取り、撫で、顔を見、頬に手を伸ばした。
 まるで顕現した天使に触れるかのように。
「そしてこれは、特殊能力者を集めた秘密のボランティア救命活動……」
「ええ」
 レムリアはシグナルに気づき、背後で聞いていた副長セレネを振り返り、セレネも頷いた。
 
 
「いじめ、ですね」
 このボランティア救命活動はアルゴ・ムーンライト・プロジェクトという。レムリアとセレネの超感覚(ESP)と超高速空中船であるアルゴ号、搭載したレーザやプラズマといった高エネルギ銃器、これらを扱う男達で構成されている。定例として3週に一度世界巡航を行い“救助には奇蹟が必要な”要救護者を対象にする。今回はイレギュラーでレムリアが呼び出したため、副長セレネだけ、という次第だ。
 

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