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2016年2月20日 (土)

【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-30-

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 ハシゴから下り、レムリアは男の子に生じた異変と、“いじめ”の理由を知った。
 極端な怒りの感情で体表に斑紋が生じる。
 毛細血管が切れて斑紋になりやすい“紫斑病”という病気がある。怒りによる血圧上昇がそれを惹起する。
 その様相を故意に起こして楽しむ。
 何という嗜虐的な“遊び”であろうか。
「大丈夫。私は何もしないよ」
 レムリアは、敢えて、日本語で言った。優しい言葉が優しく聞こえる言語だと思うから。
 逃げたらしい5人の視線を背後の方々から感じる。男の子は白目を剥き、口角泡を吹き、ほぼ意識を失い掛けている状態である。
 手のひらを持ち、手首を握り、肩に手を回し、そのまま抱き寄せる。
 10歳か11歳か、その位。何年、こんなことされて来たのか。
 背中をなでさすり、ようやく落ち着いてくる。
 白目剥いていた碧眼がレムリアに焦点を合わせた。
「……天使様」
 という英語。彼にも術は掛かっている。
「ずっと見ていました」
 英語で応じる。そして知る。彼が過去何度も、やめてと周囲に頼んでいたこと。引っ越しを繰り返し、それでも結局はこうなってしまうこと。
 もう、あきらめていること。
 走馬燈のように流れる記憶を拾い上げる。
「でも、もう大丈夫。私が魔法をひとつあなたに掛けます」
 呪文、夕刻なので月齢ほぼ7の半月が中天にいる。
「(我の唱える解き放つ力この身へ降らせ『意図したこと形をなさず』)」
 レムリアは、そんな意味の語を唱え、唇に指先で触れ、その指と手のひらをまっすぐに月にかざし、
 短い髪の毛がふわりと動いたところで、手のひらを握り拳とし。
 そして、男の子に握った拳を両手で握らせ。
 その状態で、手を広げる。
「あ!」
 男の子は電撃でも受けたように身体をビクリと震わせ、声を上げた。
「これであなたは一つだけ魔法を使えます。呪文はこう『意図したこと形をなさず』……」
 

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