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【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-32-

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 言うなれば絶対の友達。親友という物言いを超えた魂の結びつき。
 そしてそう、それは多分、自分の使命。
「私はあなたの委細を問わぬ。ただあなたの友であると約束する」
 断言してみせる。そして自分自身理解する。これで良い。
 この言葉は強い。
「レムリア」
 注意を喚起するセレネの声。
 意識を振り向けた瞬間、何が起きているかレムリアは把握した。
 アムステルダムで良く通った孤児院に暴漢が押し入っている。
 しかも集団である。目的は……性的暴行。
 正面スクリーンは夜明け前であり、教会併設の当該施設が映っている。そこに赤外線センサでモニタされた画像が重ねられてあり、逃げる者と追う者とが映っている。
「レムリア。私たちだけで対処する必要があります」
「はい」
 対処。銃器自体は船にある。対人攻撃できない設計だが得物の無力化には使える。
 ただいかんせん大男が扱う設計で10キログラム以上、銃身も150センチはあり、自分が取り回すには効率が悪い。
「相原さん。さっきと同じ魔法を私にも掛けて」
 溝口が言った。それは意外ではあったが当然の申し出のような気もした。
 そうしろ、という運命の導きなのだ。彼女は確信した。
 天の意志。
「判りました。月明かりが必要です。甲板へ」
「はい」
 とはいうものの北米に比してこちらは夜明けに近い。当の月は地平線に沈んでしまった。
「月が……」
 地球上では見えない。
 ならば。
「大丈夫」
 レムリアは言うと立ち戻り、舵手席の舵を手にした。
 上下左右はジョイスティック型。その左右にはレバーがあってこれで加減速。左右にあるのは出力を左右別々にコントロールする等を目的としたもので、通常船舶や重機などでも見られるタイプ。
 そこでレムリアのしたこと。ジョイスティックを手前に引き倒し、船を一旦遙か上空へ。
 

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