« 天使のアルバイト-050- | トップページ | 天使のアルバイト-051- »

【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-35-

←前へ次へ→

 
 失神したのを確認し、変態の時と同様、左手首と右足首を背中越しにタイラップ。なお、タイラップは偉丈夫なら楽に切れそうな細さに見えるが、実際には切れる前に伸び、応じて皮膚下に食い込み傷つける。
「大丈夫?」
 キュッと縛り、男の子に尋ねると……男の子は雄々しく立ってそこにいた。
「魔法のお姉ちゃん、だよね」
 マジシャンとして何度も来ているので顔は知られている。
「今の、ジュードー?」
「そう」
「なら、僕でもできる。皆を助ける」
 男の子は言うなり、走り出した。
 それは、暴漢らが狙った場所への案内だとレムリアは悟った。
 走り出す彼について行く。孤児院は3階建て。1階が遊戯室と浴室、食堂。2階3階が寄宿舎。
 その2階。
「(意図したこと形をなさず)」
 溝口の声がし、次いでガチンとでも書くか、鈍い音。
 テレパスが痛覚の衝撃波を二つ捉えた。
 超視覚が作動し、起こったことを夕暮れのように見せる。暴漢共はどうやら溝口が少女だと知るや、二人がかりで襲いかかろうとし、そこで溝口がしゃがんだため、その二人が正面衝突したのである。
 ほぼ悶絶。
「これで」
 男の子にタイラップを渡す。
「はい」
 計4人片付けた。
「他には?」
 溝口に訊く。
「判らない。私はこの二人が最初」
 レムリアはテレパスでスキャン。溝口は3階を見上げる。子供とは思われない足音。
「上だ」
「挟み撃ちにしましょう。あなたは後ろから、私たちは向こうへ」
「はい」
 挟み撃ちというのは、寄宿舎フロア両端の階段をそれぞれ上る、の意。男の子が先に動いて階段を駆け上がって行く。その足は速く、先に階段の向こうに見えなくなる。
 悲鳴が上がって多数の足音がバタバタ。子供達それなりに気付いて逃げていると知る。
 セレネから通信。ピン、という音がPSCから。
 

|

« 天使のアルバイト-050- | トップページ | 天使のアルバイト-051- »

小説」カテゴリの記事

小説・魔法少女レムリアシリーズ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-35-:

« 天使のアルバイト-050- | トップページ | 天使のアルバイト-051- »