【魔法少女レムリアシリーズ】転入生(但し魔法使い)-35-
失神したのを確認し、変態の時と同様、左手首と右足首を背中越しにタイラップ。なお、タイラップは偉丈夫なら楽に切れそうな細さに見えるが、実際には切れる前に伸び、応じて皮膚下に食い込み傷つける。
「大丈夫?」
キュッと縛り、男の子に尋ねると……男の子は雄々しく立ってそこにいた。
「魔法のお姉ちゃん、だよね」
マジシャンとして何度も来ているので顔は知られている。
「今の、ジュードー?」
「そう」
「なら、僕でもできる。皆を助ける」
男の子は言うなり、走り出した。
それは、暴漢らが狙った場所への案内だとレムリアは悟った。
走り出す彼について行く。孤児院は3階建て。1階が遊戯室と浴室、食堂。2階3階が寄宿舎。
その2階。
「(意図したこと形をなさず)」
溝口の声がし、次いでガチンとでも書くか、鈍い音。
テレパスが痛覚の衝撃波を二つ捉えた。
超視覚が作動し、起こったことを夕暮れのように見せる。暴漢共はどうやら溝口が少女だと知るや、二人がかりで襲いかかろうとし、そこで溝口がしゃがんだため、その二人が正面衝突したのである。
ほぼ悶絶。
「これで」
男の子にタイラップを渡す。
「はい」
計4人片付けた。
「他には?」
溝口に訊く。
「判らない。私はこの二人が最初」
レムリアはテレパスでスキャン。溝口は3階を見上げる。子供とは思われない足音。
「上だ」
「挟み撃ちにしましょう。あなたは後ろから、私たちは向こうへ」
「はい」
挟み撃ちというのは、寄宿舎フロア両端の階段をそれぞれ上る、の意。男の子が先に動いて階段を駆け上がって行く。その足は速く、先に階段の向こうに見えなくなる。
悲鳴が上がって多数の足音がバタバタ。子供達それなりに気付いて逃げていると知る。
セレネから通信。ピン、という音がPSCから。
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