5年目の3月11日金曜日に寄せて
公開開始は未定だが、東北地方太平洋沖地震を対象とした物語を掲載する。主人公はレムリアであるから、応じてアルゴ号の物語である。端的にあの船を救助活動に投入したら、何が出来て、それでも出来ないことは何か。
経験した方ならば、事前に自力で逃げ出すことと、後で罹災者を救出するのとでは、パフォーマンスも「確率」も大幅に異なることはご承知であろう。
実際の大災害に空想の船を持ってきて救助の物語に仕立てるなんざ、不謹慎の極みと憤る向きもあるかも知れぬ。しかしそれはシミュレーションとして、今後起こるであろう南海トラフを視野に入れた時、事前告知と救助活動で不足していること、今の技術で可能な内容を浮き彫りにするであろう。そこに自分の経験を記録として埋め込むことも目論む。経験の記録自体は備忘と伝承のためにやっておきたかったことだからだ。作文でも良いのだが、物語ならより現実感を持って経験を生かせる。
利用だという批判に正当化するつもりはない。ただ、形はどうあれ、最大の慰霊は再発防止であり、同じ事態に対する犠牲を減ずること。と私は信じる。そのためには何が起こるか、机上検討出来る範囲は可能な限りやっておくべきである。理屈と箇条書きでも良いかも知れぬが、物語の体をなすことにより、実感的・具体的に考えられるはずである。私はあの揺れとその後を知る者として、今現在名古屋の地にいる重き責任を自覚している。
委細は追ってまた。今度こそ、全ての人が逃げられますように。
東北地方太平洋沖地震。人的犠牲21839(理科年表2016・2015年3月公表値)。関東大震災以来の、21世紀に日本で生じた、自然災害。
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コメント
期待してるよ。
投稿: TAC | 2016年3月11日 (金) 14時48分