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天使のアルバイト-052-

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 その時。
「おい、金髪のおねーちゃん。偉かったぞ」
 さっきの男性が言い、拍手する。
 拍手は程なく取り巻く客全体に伝搬し、エリアを拍手の輪が包む。
「ああすごかった。良く助かった」
「鳥肌が立ったぞ。お前さんスゴいわ」
「こんなん初めて見たで」
 拍手のトーンが上がり、鳴りやまない。
 自分のしたことが“すごい”に分類されることであると、ようやくにエリアは気付く。
 実際は“命”に関する諸情報やテクニックは、素性が素性ゆえに身体が覚えていると書いて良いレベルである。遠く神話の時代、“限りある命”の人間と、その補佐役だが“永遠の命”を有する彼女たちが同居していた時代の名残だと聞いたことがある。
「どうも……」
 エリアは会釈し、小走りに売り場を横切り、社員出入り口へ向かった。
 背後からの拍手は嬉しいがちょっと照れくさい。そして、その一方で、拍手に包まれたことに少し安心感のようなものも感じる。これまで意識の片隅にあった、根無し草の気分と言おうか、過去も素性もない“単に生きているだけ”のフワフワした感じが希薄になっているのだ。
 それは実は、店及び客に“エリカ”の存在が認められ、彼女がこの社会に組み込まれた証なのであるが、彼女自身は、意味するところを認識してはいない。
 
 
 狙ったわけではないのだろうが。
 それから少しの時を経て、もう一つ、事件が起きた。
 午後3時過ぎ。
 西日に焼かれ、うだるような暑さの中、わざわざ炎天をついて買い物に来ようという人は少なく、店内に客はまばら。
 エリア達レジ係3人娘もヒマで、しばらくは客が放置していったカゴやカートの片づけをしていたが、それすらも終わってしまうと、一人の提案でエリアによる応急処置の特別講義となった。
 

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